運動でアルツハイマー病は予防できる?——40代から始めたい脳を守る習慣
「最近、物忘れが少し増えた気がする」
「名前がすぐ出てこない」
「疲れると考えがまとまりにくい」
こうした変化を、年齢のせいだと思っていませんか。
もちろん加齢は一つの要因です。しかし、アルツハイマー病(AD)は高齢になって突然始まる病気ではありません。近年では、発症のかなり前から脳内では少しずつ変化が始まっていると考えられています。
世界では約2,400万人がアルツハイマー病に苦しんでおり、2050年にはその数が約4倍になると予測されています。
日本でも高齢化に伴い、今後さらに増加していく可能性があります。
特に女性は、平均寿命の長さや閉経後のホルモン変化、筋力や骨量の低下などが重なり、リスクが高まりやすいと考えられています。
赤堀鍼灸接骨院では、アルツハイマー病を「年齢だけの問題」とは考えていません。
運動、食生活、睡眠、自律神経、姿勢、身体の使い方——こうした日常の積み重ねが脳の働きに大きく関係すると考えています。
今回は、運動とアルツハイマー病の関係について、研究報告をもとに分かりやすくお伝えします。
アルツハイマー病とは?
アルツハイマー病は認知症の中で最も多いタイプです。
初期には、
- 同じことを何度も聞く
- 会話の内容が理解するのに苦労しやすくなった
- 物の置き場所を忘れる
- 段取りが悪くなる
- 集中しにくくなる
- 同時に複数のことをすると混乱しやすい
といった変化がみられることがあります。
脳内では「老年班プラーク」と呼ばれるアミロイドβという異常タンパク質が蓄積します。
これは脂肪がたまるというより、異常なタンパク質が神経細胞の周囲に沈着し、神経同士の情報伝達を妨げてしまう病理変化です。
さらにタウタンパクの異常も加わり、脳のネットワークが徐々に弱っていきます。
発症の背景には10の生活因子があります
現在、認知症には約11種類の修正可能な危険因子があると報告されています。
- 運動不足
- 高血圧
- 糖尿病
- 肥満
- 喫煙
- 過度な飲酒
- 難聴
- 社会的孤立
- 抑うつ
- 頭部外傷
つまり、すべてが遺伝で決まるわけではありません。
生活習慣を整えることで、将来のリスクを下げられる可能性があります。
また、アルツハイマー病になると医療費・介護費・通院・家族の就労制限などが重なり、一家庭あたり年間200〜300万円程度の負担になるケースもあります。
これはご本人だけでなく、ご家族にも大きく関わる問題です。
なぜ40代からの対策が大切なのか
アルツハイマー病は、症状が出る20年前から脳内変化が始まるともいわれています。
つまり、70代で症状が出る方なら、50代、あるいは40代頃から身体や脳には小さな変化が始まっている可能性があります。
40代頃から増えやすいのが、
- 運動不足
- 睡眠の質の低下
- 血糖の乱れ
- ストレス過多
- 自律神経の乱れ
- 姿勢の崩れ
です。
「まだ若いから大丈夫」ではなく、40代から整えていくことが将来の差になります。
有酸素運動で改善が期待できる脳機能
今回の論文では、有酸素運動によって次の改善が報告されています。
- 認知機能全般
- 空間認知機能
- 実行機能(計画・段取り)
- 記憶機能
- 反応速度
- 情報処理速度
- 運動機能
特に記憶に関係する「海馬」の体積維持との関連が示されています。
つまり運動は筋肉のためだけではなく、「脳の回復力」を高める刺激でもあるのです。

どのくらい運動すればよい?
研究では高齢者に対して、以下が推奨されています。
- 週5日、30分以上の中強度有酸素運動
または - 週3日、20分以上の高強度有酸素運動
中強度とは、
- 少し息が弾む
- 会話はできる
- 歌うのは少し難しい
くらいが目安です。
40歳であれば、心拍数120~140回/分程度が目安になります。
60歳であれば、心拍数110〜130回/分程度が目安になります。
簡単な1週間プラン
- 月:早歩き30分
- 火:ストレッチ10分
- 水:散歩または自転車30分
- 木:スクワット10回×3セット
- 金:休養
- 土:早歩き20分
- 日:家族と散歩30分
完璧を目指す必要はありません。
週3回からでも十分意味があります。
※一例であってこの内容が全ての人に適用するわけではありません。
運動すると身体に何が起こる?
運動によって、
- 脳血流が増える
- BDNF(脳由来神経栄養因子)が増える
- 血糖コントロールが改善する
- 炎症が抑えられる
- 睡眠の質が高まる
といった変化が起こります。
これは単なる体力づくりではなく、脳の機能維持にとても重要な変化です。
筋肉痛と注意すべき痛み
筋肉痛
- 1〜2日後に出る
- 押すと痛い
- 数日で軽くなる
→ 身体が適応している反応です。
注意が必要な痛み
- 鋭くズキズキする
- 腫れや熱感がある
- 安静でも痛い
→ 関節や組織への侵害刺激の可能性があり、運動量の調整が必要です。
痛みがある方は、無理に頑張るより身体に合った方法で行うことが大切です。
赤堀鍼灸接骨院の考え方
当院では「神経と身体のバランス」を大切にしています。
脳は、どのような入力を受けているかで働き方が変わります。
例えば、
- 姿勢の偏り
- バランス機能低下
- 眼球運動の偏り
- 空間認知の低下
- 自律神経の乱れ
これらは脳機能にも影響します。
当院では単に筋力だけを見るのではなく、歩行、姿勢、バランス、身体の使い方、神経機能を評価し、意味のある刺激を入れていくことを大切にしています。
「最近なんとなく気になるけれど、まだ病院に行くほどではない」
そういう段階こそ、身体を見直す良いタイミングです。
セルフチェック
以下に当てはまるものはありますか?
□ 最近、物忘れが少し増えた
□ 以前より歩く機会が減った
□ 疲れやすくなった
□ 段取りよく動きにくい
□ 睡眠が浅い
□ 同時に複数のことをすると混乱しやすい
□ 姿勢が崩れやすい
□ 外出や人と会う機会が減った
3つ以上ある方は、身体機能や生活習慣を見直すタイミングかもしれません。
FAQ
Q. どんな運動から始めればよいですか?
まずは10〜15分の早歩きからで十分です。継続できることを優先しましょう。
Q. 膝が痛くても運動した方がよいですか?
無理をして痛みを悪化させるのは逆効果ですが、完全に運動を止めてしまうのも筋力や脳機能の低下に繋がります。
膝への負担が少ない水中ウォーキングなどの運動から始めるのがおすすめです。
Q. 筋トレだけでもよいですか?
筋力維持は大切ですが、脳血流や認知機能への影響を考えると有酸素運動との併用がおすすめです。
Q. 40代でも対策は必要ですか?
はい。むしろ40代からの積み重ねが将来の予防につながります。
まとめ
アルツハイマー病は、年齢だけで決まるものではありません。
- 運動
- 食生活
- 睡眠
- 自律神経
- 身体の使い方
こうした日常の積み重ねが、将来の脳の働きに大きく関わります。
未来を守るのは、今日の小さな習慣です。
もし「少し気になる」「最近変化を感じる」という方は、早めに身体の状態を確認してみることをおすすめします。
赤堀鍼灸接骨院では、身体の動き・バランス・神経機能の視点から、将来を見据えた身体づくりをサポートしています。
気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献・エビデンス
- アルツハイマー病の予防と治療における運動
- 認知症予防ランセット委員会の報告
- トレーニングによる記憶力向上
Erickson KI, et al. Exercise training increases size of hippocampus and improves memory. Proc Natl Acad Sci U S A. 2011.





